雑木林のカット       金光達太郎の「話し方ワンポイントレッスン」X
              
              
  雑木林の音
 
  
           <潟_スキン発行」喜びのタネまき新聞」No.403-平成15年第10号より>
                          
                                          イラスト:西村玲子

<オレサマムシ・・・・・>

 注意の受け方は幼児のままだ。

 「お父さん、お風呂の電気つけっぱなしだったよ」と息子にいわれて、「そうか、また忘れたか。消しといてくれた?ありがとう」とサラリというのは案外むずかしい。

 「ダメだね」といわれたように思えて、そのままでは負け犬になるような気がするものだから、つい「バカモン、お前なんか1キロワットの電気ストーブを、今朝もつけっぱなしだったぞ、自分こそ気をつけろ!」といい返してしまう。そんなことがきっかけで、折角の休日を不快なものにしてしまったことが、今までに何回あったことだろう。

 失敗の原因ははっきりしている。
「またつけっ放し」と、いわれた時にこころに生れた「負けてたまるか」という対抗意識をそのまま野放しにしたため、やがてそれの奴隷になってしまったのだ。

 どうしたらこの対抗意識に支配されずにすむであろうか。
やり方は色々であろうが、今回はひとつ私の奇妙な工夫を紹介させていただこう。

 私の場合、こころにこの対抗意識を感じたらすぐに「オレサマムシがオレサマムシカット出た」と自分にいい聞かせることにしている。

 オレサマムシは、私の想像の世界で、人間の対抗意識の象徴として創作した寄生虫である。トカゲに似た形をしている。平素はゴマ粒のように小さくなって脳内に潜んでいるが、宿主の肩に力が入ると眉間の毛穴からあらわれて肥大し、鼻柱にまたがって「マケルナ、マケルナ」と宿主をあおりたてる怪虫である。

 オレサマムシをイメージすると次のような思い分けが容易になる。

「マケルナ、マケルナと騒いでいるのは寄生虫であって自分自身ではない。ムシは無視すればよい」
ここまで書いた時、妻の声。「お庭の水道が流しっ放しよッ」
さあ、オレサマムシのお出ましだ。

たちは誰でもことばに反応して、直ぐに自分の中に「オレサマを何だと思っているのだ」と対抗意識持ってしまいます。それがほとんどの揉め事の原因になっているのでしょう。
  腹が立つのを押さえようとするとフラストレーションがたまりますが、「ムシがお出ましになった」と思って「無視」などと駄洒落をいっているうちに、腹のムシは退散してくれるのかも知れませんね。

フィリア WEB 話し方教室へ(金光達太郎師のワンポイントアドバイス)
T.人を好きになることの大切さ U.人間なのだ・・ V.やさしい人・・ W.小さな神様・・ X.オレサマムシ・・
Y.五分の魂 Z.ありがとさん [.ひとことの余韻 \.鳩は利口です ].本当に苦手?
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