雑木林のカット       金光達太郎の「話し方ワンポイントレッスン」V
              
              
  雑木林の音
 
  
           <潟_スキン発行」喜びのタネまき新聞」No.403-平成15年第8号より>
                          
                                          イラスト:西村玲子

「やさしい人」・・・・・

 夏休み明けの授業がはじまった大学で、学生諸君に3分間スピーチをしてもらったことがある。テーマは「夏休みの思い出」であった。

 学生たちの多くは、旅行や事故の体験談を話した。
「久慈の男体山の麓から、そそり立つ岸壁を仰いだ時、身が震えるほどの感動を覚えました」
「友達とドライブに出かけましたが、車が田園に落ちて苦労しました・・・」
それらはいずれも平素は経験しない強い刺激に出会って感じたものであった。

やさしい人カット
  ところがひとりだけ、平凡な日常生活の思い出を話した人がいた。マナミさんという小柄な女子学生であった。
「7月の終わりに松戸で花火大会がありました。わたくしは下宿のお風呂に入ってから浴衣に着替えて、江戸川の土手に見物にいきました。
花火が終わって下宿に帰ると、下宿のおばさんが待っていて
『まあ、汗びっしょりね、暑かったでしょう。さあもう一度お風呂に入っていいから、ゆっくり汗をお流しなさい遠慮しないでね』
といってくれました。おばさんの優しいお気持ちが身に沁みて忘れられません」

 私は驚いた.マナミさんのいうおばさんのこころくばりは、もう1ヶ月以上も前のことだ。それを彼女はまだしっかりと覚えている。
だれでも、人の優しいこころに触れればこころが温まり、感謝の気持ちも起きるものだが、普通の人は翌日にはわすれてしまう。
 マナミさんが、普通の人と違う点は何だろう。どうも記憶力ではなさそうだ。違うのは、人のやさしさへの感受性のように思える。

 優しい人のこころには、人のこころの優しさが鏡のようにはっきりと映って見えるのではなかろうか。

■逆も真なのでしょう。相手をどう思うかは自分のこころの鏡であるなら、人のこころの暖かさや優しさを感じられるようになれば、話し方の第三歩が踏み出せるのかも知れません。

フィリア WEB 話し方教室へ(金光達太郎師のワンポイントアドバイス)
T.人を好きになることの大切さ U.人間なのだ・・ V.やさしい人・・ W.小さな神様・・ X.オレサマムシ・・
Y.五分の魂 Z.ありがとさん [.ひとことの余韻 \.鳩は利口です ].本当に苦手?
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