金光達太郎の「話し方ワンポイントレッスン」U |
||||||
「人間なのだ」・・・・・ | ||||||
私は疲れていた。鈍行列車に乗り込んだが空席はなかった。だが、デッキに近い長い座席に、ひとりの老人がトリスウィスキーの小びんを枕にして眠っていた。 だが待てよ。この人は鬼でも蛇でもない。確かに人間なのだ。人間同志の友達のつもりでお願いしてみよう。私は老人の肩に手を乗せた。 「もしもし、ごめんなさい。かけさせていただけますか」 「ううーっ、ああ、おう、おう、これは失礼しました。どうぞおかけになってください」 見ると、その人の手の無数のヒビには土が滲みこんでいた。 列車は大きな駅に近づいていた。老人はそこで降りてバスに乗る。私は特急に乗り換える。ふたりは、もう、別れが惜しくなっていた。 「さようなら、美味しい桃ができますように」「楽しゅうございました。どうぞお元気で」 私は考えた。人を見て「人間じゃない」と思うこころには救いがなかった。 「人間は・・・・・人間なのだ」 ■私たちはつい「こんなヤツ人間じゃない!」と決め付けてコミュニケーションをとろうとせず、お互いの間に溝を作りやすいのですが、前回と同様仲間だ、同じ人間なんだ、と思うところから話し方の第二歩が始まります。 |
||||||
フィリア WEB 話し方教室へ(金光達太郎師のワンポイントアドバイス) | ||||||
T.人を好きになることの大切さ | U.人間なのだ・・ | V.やさしい人・・ | W.小さな神様・・ | X.オレサマムシ・・ | ||
Y.五分の魂 | Z.ありがとさん | [.ひとことの余韻 | \.鳩は利口です | ].本当に苦手? |